シンガポール国内の引っ越しのメモ 2021年

先日、初めてのシンガポール国内での引っ越しを経験した。今後も引っ越しをすることがあるかもしれないので備忘録を残しておく。

ちなみに引っ越しの手順やタイムラインの感覚についてはこちらのサイトを参考にした。

引っ越しの理由

シンガポールに来てからは、ずっと家賃1700 SGDのコンドミニアムのスタジオルームで生活していた。420 sqft、家具付き、家電付き(テレビは無し)、バルコニー付き。部屋は5階(最上階)で住宅街に面しており、住環境は静かで落ち着いていた。加えてMRT、ホーカー、モールが全て徒歩圏内で立地も良かった。1年契約で毎年契約を更新していた。

そんな快適な生活も3年目に差し掛かった頃、契約更新の約2ヶ月前に突如オーナーから、「部屋を売りに出すことにしたので、申し訳ないけど賃貸契約の更新は出来ない」と言われてしまった。元々この部屋はテナントに貸し出すと同時に売りにも出しており、自分の賃貸契約中にもちょくちょく見込み客が内見に来ていた。でも、なかなか買い手が見つからなかったようで、とうとう賃貸業はやめて売却に専念することにしたらしい。ほどなくしてオーナーの売却依頼を受けた不動産の営業担当からも挨拶のメッセージが届いた。
結構唐突ではあったが、実は自分の方も「そろそろ引っ越そうかなあ」とボンヤリ考えてはいたのだ。Covidの影響で自宅で過ごす時間が増え、もう少し広い部屋に引っ越せたら快適だろうなあという思いがあった。なのでオーナーからの通達は部屋を出るきっかけとしては丁度良かった。

新居探し

引っ越しの全行程の中で新居探しが最も難航した。自分の新居の条件は以下の通り。

  • 家賃: 2500 SGD Max
  • 部屋の広さ: 500 sqft以上
  • 部屋の種類:コンドミニアムのスタジオルーム、または1~2ベッドルーム
  • 部屋の条件:家具・家電付き、バルコニー付き、地上階以外
  • 立地:MRT、ホーカー、モールが徒歩圏内にある
  • その他:持ち込み家具あり (PC用の机、椅子、本棚)

初めてシンガポールで部屋を探したときと同様にPropertyGuruで物件を探して、気になる物件があればエージェントにWhatsAppで連絡を入れた。。。のだがエージェントの反応が全体的に鈍い。リクエストを送ってもなかなか部屋の内見まで漕ぎ着けられないのだ。初めての部屋探しのときは割と簡単にどの物件も内見できたのに。。。
Covidの感染防止のために極力内見は最小限に留めたいというのが主な理由かもしれない。
本格的に部屋探しを初めて3週間が経過した時点で内見できたのはわずかに3件。そのうち2件はあまりピンと来ず、1件はかなり良さ気だったのだが、後日連絡を入れたところ、すでに他の人に抑えられてしまったとのこと。
ちなみにこの3週間の間に旧居のほうも買取の見込み客が週1、2くらいのペースで内見に来て、割とあっという間に買い手が見つかった。過去数年、一向に買い手が見つかる気配がなかったのに。。。これは営業担当の実力が大きいのだろうか。

ともあれ引っ越しの準備のことも考えると、退去日の1ヶ月前には新しい引越し先を見つけたい。3週間かけても3件しか物件を内見できていないという事実に少し焦りを覚え始めた。そんな土曜日の朝、PropertyGuruである物件が目についた。部屋の雰囲気、立地ともに良さげ。バルコニーは無いが、この際妥協もやむなし。エージェントにWhatsAppでメッセージを送ったところ、すぐに返信とともに部屋を詳細に撮影した動画が送られてきた。撮影動画も良い感じだったので内見のリクエストを送ったところ、なんとその日の午後に内見することが出来た。
建物は古いが30階以上の高層コンドミニアムの最上階の部屋で眺めが良く、部屋自体の雰囲気も良かった。
その日のうちに契約したい旨をエージェントに伝えて、後日送られてきたLetter of Intentにサインして、ひとまず新居探しは一段落した。新居については後述する。

引っ越し業者選び

新居が決まって次にやったのが引越し業者選びと引越し日の設定だ。引越し業者は適当にネットで検索して評判の良かったPHOENIX moverKNT moversに見積り依頼を出した。PHOENIX moverから即座に返信が来てオンサイト見積もりの予定をセットした。対応が早く、見積もり内容にも不満はなかったのでPHOENIX moverを利用することにした。最終的な金額は以下のとおり。

  • 295 SGD

上記の金額には以下のサービスが含まれている。

  • 使わなくなった古いPCチェアの処分 (オプション)
  • ダンボール箱 10箱 (51cm x 41cm x 41cm)
    • ダンボール箱は見積もりのときに必要な数を申告する
  • コンドミニアムへの引っ越し申し込み手続き (オプション)
    • 各コンドミニアムにつき40 SGDでコンドミニアムへの引っ越し申し込み手続きを代行してくれる。デポジットが必要な場合も引越し業者で準備してくれる。
    • 自分の場合は旧居も新居もコンドミニアムなので、合計80 SGD支払った。
  • パッキング・サービスは利用無し

自分の持ち物のなかで特に大きいのはPC用の机、椅子、本棚のみで、それ以外のものはダンボール数箱に収めることができた。また掃除機やPC用のモニターは買ったときの箱にそのまま詰めた。ダンボールは多めに10箱を頼んだが最終的に使ったのは5箱だった。余ったダンボールは引越し当日に業者が回収した。
引越し日は新居の鍵受け渡し日の翌日に設定した。

カーテン・クリーニング

自分のTenancy Agreementには明記されていなかったものの、シンガポールでは退去の前にカーテンをクリーニングに出すのが一般的とのことなのでリビングのカーテンをクリーニングに出すことにした。
Wash Labという業者に70 SGD (カーテンの取り外し、取り付け込み)で依頼した。クリーニングの完了には4日間を要した。

旧居のクリーニングの予約

日本と同様、シンガポールでも部屋を退去する際は原状回復に努める (End of tenancy cleaningと呼ぶらしい)。自分で掃除する気は起きなかったので、業者に依頼することにした。SGcleanXpertに398 SGDで依頼した。ただしトイレとシャワールームだけは業者が来る前に自分でもある程度掃除をした。掃除日は旧居引き渡しの1日前に設定した。

荷物のパッキング

引越し業者の見積もりから土日を挟んで5日後にパッキング用のダンボールが届いた。大型の家具類を除けば大した荷物量ではないので、気が向いたときに適当にパッキングを進めた。一応、荷物は系統別に箱に詰めて、それぞれ何の荷物が入っているのかを大雑把に箱に書き込んだ。食器類は近所のPOPULAR書店でプチプチを3束購入して梱包し、割れないように衣類やタオル類と一緒の箱に詰めた。また自分は仕事やら趣味やらの本が50冊ほどあるのだが、これが結構な重量になった。相当な腕力の持ち主でもない限り、一人で持ち上げるのはまず無理。(業者の人も箱の重さに驚いていた。)

多分その気になれば1日で全ての荷物をパッキングすることも出来たと思う。

StarHub ブロードバンドの移設の予約

新居にはオーナー所有のM1のWifiが飛んでおり、そちらを利用することも出来るのだが、やはり自分専用の回線が欲しかったので旧居で利用していたStarHubの1Gbpsファイバー・ブロードバンドを新居に移設することにした。(過去にも自分用の回線を引いていたテナントが居たとのことで、新居への移設に問題ないことは確認できていた。)
公式のWebサイトから移設の申込みをすると数日以内にサポートから電話が来て移設の本予約をする。。。のだが、自分は電話での会話が苦手で、伝えられた内容を完全には把握できなかったので、後日、移設に関して不明だった点をWebサイトに記載されていたメールアドレス宛に質問した。その返信によると、

  • 自分は来星時にStarHubの1Gbpsのファイバー・ブロードバンドを2年間契約した。月額は39.90 SGD。
  • すでに2年契約は切れているものの、回線自体は引き続き利用できる。(契約の内容・状態はスマホのMy StarHubアプリでも確認できる)
  • すでに最初の契約が切れているので、移設の前または後に再契約することができる。再契約をすれば移設費用が無料となる。
  • ただし2021年現在、1Gbpsのファイバー・ブロードバンドは値上がりしており、再契約の場合、値上がりした月額料金を払うことになる。
  • 再契約しなかった場合、これまで通り月額39.90 SGDで回線を利用できる。ただし移設費用は有料となる。

自分はこれまで通りの月額料金で回線を利用したかったので、再契約はせずに移設だけすることにした。ちなみに移設の予約だが、あまり早く申し込みをすると希望日のスロットがまだ開いていないことがあるので、大体希望日の2週間前くらいに申し込みをすると良いと思われる。
移設に際してルーターやONU、光ケーブルなどの機器を新居に持ち込むのを忘れないこと。

新居の鍵の受け渡し (引っ越し1日前)

新居へ出向いてエージェントから部屋の鍵とコンドミニアムのリフトキーを受け取った。また、このときにオーナー所有のWifiのSSIDとパスワードも教えてもらった。エージェントのみの立ち会いで、オーナーは来なかった。聞いたところによるとオーナーはシンガポール在住の夫婦だが、すでに高齢とのこと。Covidのこともあるので極力他人との接触は避けたいのかもしれない。

この日は業務用のPCなど簡単な身の回りのものだけ新居に持ち込んで、旧居に帰宅した。

引っ越し当日

約束の時間の数時間前に業者から、午前中の引っ越し作業が長引いており、約束より1時間ほど遅れると連絡が入った。実際には約束の時間の30分後には来てくれた。見積もりのときに来た男性1名と別の男性1名の計2名が作業してくれた。PC用の机、椅子、本棚は分解せず保護用のビニールを巻きつけて積み込んでくれた。その他の荷物もあっという間に積み込んだ。多分積み込み作業は10分するかしないかで完了したと思う。

てっきり、別々に新居に向かうのかと思ったら、そのまま一緒にトラックに乗ってくれて良いと言われた。まあ、確かにその方が手間がかからないので、事故らないことだけを願いつつ同乗することにした。(運転自体は別に普通だった。)出発の際、コンドミニアムのオフィスの人が別れの挨拶をしてくれた。あまり話したことはなかったけど、なんとなく自分を気にかけてもらえていたようで、少し嬉しくなった。

新居への荷物の搬入もあっという間に終わった。全ての荷物の搬入を確認してPayNowで料金を支払い、業者は撤収した。荷物の積み込み、新居への移動、荷物の搬入、全て合わせて1時間ほど要したと思う。

特にすることもなかったので、その日のうちにあらかたの荷物をアンパックした。

旧居のクリーニング (引越し後1日目)

朝方に旧居に向かってクリーニング業者の到着を待った。部屋で待っていると業者から電話が入り、すでに部屋で待っていると伝えると、それなら約束の時間よりも早めに開始しようということになった。掃除に来てくれたのは男性スタッフが3名。清掃の間は作業の邪魔にならないように部屋から出ていないといけない。終わったら連絡するということなので、清掃の間は近所を散歩したり、カフェで読書したり、モールで買い物したりして時間を潰した。大体4時間半後に業者から完了の連絡が入ったので旧居に戻った。(ちなみに業者によっては完了連絡から一定時間以内に部屋に戻らないと、そのまま撤収するということが契約に明記されていたりするので、注意したいところ)

部屋に戻り、清掃の成果を点検する。1点、トイレの底面の汚れだけ落としてもらうようにお願いした。(自分で掃除したときも、そこだけはどうしても綺麗にならなかった。) それ以外には特に気になる部分はなかった。バルコニーやボムシェルター(倉庫)もちゃんと掃除してくれていた。また清掃中に (恐らく以前のテナントものと思われる) 落とし物が数点出てきており、それらもまとめてくれていた。指摘したトイレの汚れもちゃんと落としてもらえたので、完了証明の書類にサインして業者は撤収した。

旧居の引き渡し (引越し後2日目)

引っ越しをすると決めた時、この旧居の引き渡しが一番の懸念だった。退去時にオーナーから (ときには難癖のような)指摘を受けてデポジットから修繕費を差っ引かれるというような話を知人やネット界隈から見聞きしていたので、どれだけ気をつけていてもデポジットの満額返金は無理なんじゃないだろうかと思っていた。

で、蓋を開けてみると特に揉めることもなくデポジットが満額返ってきた。引き渡しのときのオーナーの点検も割と大らかで、照明の点灯確認とクローゼットやキャビネットの中身の確認くらいしかしていなかったと思う。壁や床の汚れの有無については特に気にしている風ではなかった。やはり引き渡しがスムーズに行くかどうかは、オーナーや立ち会いのエージェント次第ということなのだろう。

鍵類、過去のエアコン・メンテナンスの領収書を渡し、引き渡しは無事完了した。オーナーとエージェントに3年間住まわせてもらったお礼を言って旧居を後にした。

StarHub ブロードバンドの移設 (引越し後3日目)

午前中にStarHubの技術者が来て、ものの数分で機器のセットアップと回線のアクティベートが完了した。ちなみに移設が完了するまではオーナー所有のWifiを使わせてもらった。オーナーからはWifiは今後も好きに使ってもらって構わないという返事をもらった。

引越し後にやったこと

各種住所変更手続き

  • Employment Pass: EP onlineにて変更。ただしこの手続きは平日の8:00 - 20:00、もしくは土曜日の8:00 - 14:00の間のみ可能。それ以外の時間や日曜日は変更手続きを受け付けない。(2021年当時)
  • DBS銀行: DBS銀行のWebサイトにて変更
  • 在留届: 日本大使館のWebサイトにて変更
  • 会社: 人事に新住所を通達
  • Singtel (自分の利用しているケータイのキャリア): SingtelのWebサイトにて変更

SP (水道、電気)の閉栓

旧居の引き渡し完了後、その日のうちにSP GroupのWebサイトで水道と電気の閉栓の手続きをした。閉栓日は最短の日程を選択した。立ち会いは不要。閉栓日の約1ヶ月半後にデポジットが返金された。

新居では光熱費はオーナー持ちなので、新居でのSPの開栓は不要だった。

新居の感想

最終的な新居は以下の通り。

  • 家賃: 2320 SGD (うち光熱費が120 SGD、家賃単体だと2200 SGD)
  • 契約期間: 2年 (1年契約も出来たが、2年契約なら家賃を割り引くと言われたので)
  • 部屋の広さ: 520 sqft
  • 部屋の種類: 31階建てコンドミニアムの最上階のスタジオルーム
  • 家具・家電: 有り。キッチンには電子レンジ、湯沸かし器、電気釜が付属。コンロは無し。
  • バルコニー: 無し
  • 立地: MRT、ホーカー、モールが徒歩圏内
  • Wifi: 有り。ただし自分はそれとは別に専用のネット回線を引いた。

バルコニーのことを除けば、当初希望していた条件を満たすことが出来た。

新居にはシャワーが2つ付いているのだが、そのうち1つのウォーターヒーターに不具合があったようで、お湯が出なかった。正直、シャワーが2つあるとメンテナンスが面倒なので、退去時にテナントに修理請求が来ないのであれば、直さずに放置で構わないとエージェントに伝えて、オーナーも了承した。念の為、エージェントにお願いしてシャワーの件をインベントリー・リストの備考欄に追加してもらった。

新居での生活は概ね満足しているのだが、1つだけ不満があり、それは時々どこからともなくタバコのニオイが侵入してくること。オーナーは同じフロアの部屋を複数所有しており、それぞれテナントに貸し出しているのだが、現在貸し出しているテナントに喫煙者はいないとのこと。
対策として、空気清浄機を購入しようか検討中。 (追記:再度オーナーに苦情を入れたところ、程なくしてタバコのニオイは止んだ。)

追記

  • 2022年某月某日、オーナーが2つあるシャワールームのうち、ひとつを物置部屋に変更したいと要求。これまで使っていたシャワールームはシャワーヘッドが取り外され、完全な物置になった。現在は残ったもう一方のシャワールームを使用。ウォーターヒーターは当然直してもらった。すべてオーナー負担。
  • 2023年に新たに契約を2年間更新。家賃は値上がりして、光熱費込みで3150 SGDになった。
  • テレビのリモコンが効かなくなる。オーナーに問い合わせたところ、Basic wear and tear (max 250 SGD)の範疇で修繕はテナント負担とのこと。オーナーは適当なリモコンに買い替えてくれて構わないと言ったが、生活に支障はないので、今のところリモコンは買い替えていない。
  • 2024年2月末日、キッチンの蛇口から水滴が垂れ続けることに気づく。エージェントに問い合わせたところ、Basic wear and tear (max 250 SGD)の範疇で修繕はテナント負担とのこと。2024年3月2日にエージェントに紹介してもらった業者に直してもらった。修繕費は60 SGD。
  • しかし、その後何週間かして再びキッチンの蛇口から水滴が垂れるようになった。なんとなく面倒くさくて、そのまましばらく放置していたが、一向に回復する兆しが無いので、2024年4月20日に前回と同じ業者に診てもらった。結局、蛇口を新しいものと取り換えることで解決した。追加で60 SGD払ったので、前回の分と合わせて、修繕に120 SGDかかった。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *